ITの基本を解説 – 今さら聞けない「メタバース」とは?

この頃、巷を賑わせているメタバース。

2021年にソーシャルネットワーキングサービスの米企業Facebookが社名を「メタ」に変更し、本格参入したことで一気に注目が集まりました。
実体はどのようなものなのでしょうか?

本稿では、メタバースにいま注目が集まる理由や、メタバースを支える技術について解説します。

メタバースとは何か?

メタバース(Metaverse)とは、「超(meta)+宇宙(verse)」からなる言葉です。

「仮想空間内でユーザーが交流する世界やシステム」を意味し、宇宙そのものではなく、現実が複数あるイメージです。

初出は1992年に書かれたアメリカの作家ニール・スティーヴンスンのSF作品『スノウ・クラッシュ(Snow Crash)』です。作中ではデジタルアバターで探索できるオンライン世界が想定されており、まさに今のメタバースそのものといえます。

従来型サービスとの違い

メタバースの“先祖”にあたるサービスの代表例は、2000年代に米リンデンラボが運営していた仮想空間「セカンドライフ」です。
現実世界のように商品や土地の売買が仮想マネーで行われましたが、時代が早すぎたためか、2007年をピークにユーザーは減少に転じました。

また、ユーザー同士が交流する仮想世界という点では「マインクラフト」や、コロナ禍で大ヒットした「集まれどうぶつの森」などのオンラインゲームがあります。

従来のものと現在のメタバースの分かりやすい違いは、3DCGやVR技術の利用です。

「VRゴーグルが不要」だった広義のメタバースに対し、「VRゴーグルを用いて体験できる」狭義の メタバースがいま脚光を浴びているといえます。

これまでのオンラインに足りなかったもの

便利なオンラインショッピングやリモートワークは現地への移動を必要とせず、買い物や通勤の革命手段となったものの、補えなかったのは「人との交流体験」でした。

奇しくもコロナ禍は、オンライン体験がどこか一体感や臨場感に欠け、味気なさや寂しさを感じさせるものことを浮き彫りにしました。
メタバースが生み出す仮想体験は「人との交流」という温かさを兼ね備え、アナログとデジタルの“隙間”を埋めるものといえるでしょう。

メタバースが注目される理由は?

2020年のメタバースの世界市場規模は5.5兆円に達しました。
ある調査によると、2028年までに市場規模は約94兆円に拡大する見込みです。
今になって注目されているのはなぜでしょうか?
メタバースが広がると、ユーザーは仮想世界で何ができるのでしょうか?

1.NFT

メタバースの付加価値を高めたのは、従来型サービスとの差別化を果たしたNFT(非代替性トークン)です。
以前は仮想空間内でやり取りされるデジタルコンテンツは売買ができず、所有権がないため不正コピーも可能で、さらにサービスが終了すると消失するという難点がありました。

NFTは代替性トークンである仮想通貨と違い、デジタル所有権をもち唯一性があるため、不正コピーを防止し、コンテンツの売買を可能にします。
これによりメタバース内の就業にもインセンティブを与え、活発化につながっています。

2.リモート化の世界的な浸透

2020年からのコロナ禍によって世界中で急速にリモート化が進みました。

対面に代わるオフィスのオンライン化によるミーティングのほか、展示会やイベント、音楽ライブなどメタバースは活用用途が広く、リモート時代との相性が抜群です。

3.デジタルアート

約6兆円の規模をもつアート市場の一端を担うデジタルアートは無断複製が課題でした。

唯一性を担保する新たな潮流「NFTアート」は3Dアイテムとして仮想空間内で展示・売買され、2021年のNFT市場規模はすでに約4.7兆円に上っています。

4.次世代SNS

Facebook社の事業転換が象徴するように、テキストや写真による従来のSNSに代わり、ユーザーの新たな交流の場として期待されます。
ユーザーの自由度が高いメタバースには日本のさまざまな企業からも注目が集まっており、グリー株式会社やメタバースプラットフォーム clusterなどが例として挙げられます。

メタバースを支える技術とは

SFに登場するような“もう一つの世界”を実現したメタバース。
メタバースの仮想世界はさまざまなデジタル技術に支えられています。

ブロックチェーン

メタバース内の経済流通を支えているのはNFTや仮想通貨です。

ユーザーは仮想通貨で手数料を支払って、NFTを購入することで、メタバース内で現実世界と同じような取引を行うことができます。
これらのデジタル通貨・資産は改ざんや偽造を防ぐ分散型のブロックチェーン技術によって成り立っています。

3D再構成

リアルで自然な空間を作り出すことを可能にする技術です。
3Dカメラを用いて現実世界にある建物や物体を3Dモデルでレンダリングし、得られた空間データからメタバース内に仮想世界を再構成します。

人工知能(AI)

メタバース内には現実世界の人間が動かすアバターだけでなく、世界を成立させるために自動的に行動するキャラクター(NPC)も必要です。AIの処理によって、ときに百万人単位で存在するNPCがユーザーとのリアルな会話や行動を実現します。

IoT

「モノのインターネット」と呼ばれるIoTデバイスが現実世界のデータを収集し、メタバースに提供することで、デジタルコンテンツの表現の精度を高めます。

VR

メタバースの根幹を支えるのが、リアリティが感じられ、仮想世界への没入感を高めるVR技術です。
「VR元年」と呼ばれた2016年以来認知が広まり、ヘッドセットデバイスの軽量化やワイヤレス化、高機能化に伴って普及が進みました。
今後、VRグラスへのさらなる進化などによる自由度の向上がメタバース成長のカギを握るでしょう。

以上のデジタル技術の多くはいずれも発展途上にあるため、メタバースの技術的な伸展性は非常に大きいといえるでしょう。

まとめ

コロナ禍を追い風に急速な成長をみせ、一躍デジタル時代の寵児になったメタバース。

過去の類似サービスやソフトの良さを受け継ぎつつ、NFTを支えるブロックチェーンなど新技術の登場でかつてない賑わいぶりを見せています。
今後10年内に市場規模の拡大が見込まれており、さまざまな分野での活用が期待されます。